神々の島 壱岐ウルトラマラソン2025の記録

神々の島 壱岐ウルトラマラソン2025の記録

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はじめに

2025年10月18日。「神々の島」とも呼ばれる長崎県の離島「壱岐の島で開催されるウルトラマラソンに参加し、100kmの部に参加し、12時間57分25秒で完走することができました。

自分のこれまでの最長走行距離は、サハラマラソンのオーバーナイトステージ80km(約17時間)でした。今回のウルトラマラソンは、人生初の100km、そして14時間以内での完走という記録更新への挑戦でした。

人生初めてのウルトラマラソン、そして壱岐の島での思い出を振り返るために記事を書きます。

壱岐ウルトラマラソンとは

壱岐ウルトラマラソンとは、長崎県の壱岐島で、毎年開催される大会です。
2025年の情報は以下の通りでした。

 開催日:2025年10月18日(金曜日)
 場所:長崎県壱岐市
 種目:100km、50km
 スタート/ゴール:壱岐の島ホール
 制限時間:100km 14時間、50km 8時間
 参加者数:878名(過去最多)

壱岐ウルトラマラソンの特徴は、島を一周する100kmのコースです。アップダウンが激しい地形が続きます。そして何より、島民の方々の温かい応援とおもてなしの心が、この大会を特別なものにしています。離島ならではの一体感があります。

壱岐ウルトラマラソンのコース

壱岐ウルトラマラソンに参加しようとしたきっかけ

最初に壱岐ウルトラマラソンを知ったのは、2024年のことでした。

サハラマラソンへの練習としてランニングを始めていた頃、知人からおすすめされて存在を知りました。
島を1周するコースの美しさ、島民の熱烈な応援。魅力的だと思いました。

しかし、話を聞いたときにははすでにエントリーが締め切られており、参加することはできませんでした。

その半年後、サハラマラソンを完走したあとに、大会を一緒に走った仲間から連絡がありました。

「壱岐ウルトラマラソンに出ようと思うのだけど、一緒に走らないか?」

誘われたのは、奇しくも1年前に出ようと思っていて叶わなかった壱岐ウルトラマラソン。これはいい機会だと思いました。参加することにしました。

サハラマラソンには1年の準備をして挑み、その次の目標や大会はまだ決めていなかった時期でもありました。

ちょっと前に読んだ本で、『対馬の海に沈む』というノンフィクションがあり、全然マラソンとはジャンルが違えども、なんとなく聖地巡礼ぽいものも感じました。

ウルトラマラソン大会前の準備

ウルトラマラソンに出るのは人生で初めてだったので、大会に向けて、準備を始めました。

サハラマラソンが終わってから、準備期間に比べるとほとんど走っていませんでした。

100kmを14時間で走り切るのはいくらサハラマラソン完走したとはいえハードな挑戦です。
サハラマラソンの1日のオーバーナイトの日でも、36時間で80kmを走ればよかったのでそれに比べても時間・距離ともに厳しい関門があります。

まずは心拍のトレーニングとしてHIITを取り入れました。
HITT(High-Intensity Interval Training:高強度インターバルトレーニング)とは、短時間の高強度運動と短い休憩を繰り返すトレーニング方法で、 短時間で高い脂肪燃焼効果や心肺機能の向上、基礎代謝アップが期待できます。

こちらの動画を毎回ランの前に見させてもらいながら、心拍トレーニングをします。

そして、大会の1か月前くらいから徐々に走行距離を伸ばしていきました。

また、今回の大会からファットアダプテーションを取り入れてみました。

サハラマラソンに参加したときに、長距離を走っていて「もう足が動かない」と思いながらもそのまま進み続けているとふと足の動きが再開するタイミングがありました。

その時はわからなかったのですが、今思い返すと代謝が関わっていたのだろうと思います。
その前に食べた補給食がエネルギーとして使える状態になったか、脂質がエネルギーとして使えるようになったかのどちらかです。

そもそも、ヒトは脂質と糖質のどちらかをエネルギーとして変えることができます。
しかし、通常、人間の身体はエネルギー源として糖を優先的に使うため、脂質をエネルギーに変換する回路が生かしきれていないことが多いのです。

脂質を使うためには普段から糖質を制限し、エネルギー源として脂質を使えるように身体を順応させて行く必要があります。

そのために普段から糖質を制限したり、血糖値をモニタリングしました。

血糖値は以前モニタリングしていたことがあったので、人生で2回目になります。

装備品

今回はウルトラマラソンだったため、トレイルランニングと比べてそこまで装備品は大事ではありません。

いつも使っているSALOMON のActive Skin 8Lを持っていくか迷いましたが、エイドがわりとあるので不要とのこと。軽さを重視して、ジェルだけ持っていくことにしました。

また今回からマイコップが必要とのことで持参しました。
小型のライトは貸し出しが合ったのですが持参する必要はありませんでした。途中で返却させてもらえます。

その他以下を携帯しました。

壱岐島へのアクセス

レース当日が2025年の10月18日だったので、前日の10月17日には壱岐の島に到着していました。

10月16日の夜の飛行機で東京から博多へ移動し、壱岐島へはへは博多港から船で向かいました。

九州郵船が運行する船はフェリーかジェットフォイル、どちらかを選べます。事前に電話で予約しておきました。

エントリー後に、Tシャツやガイドブックと一緒に2割引券が届きました。ありがたかったです。

宿泊と前日の過ごし方

宿泊は日本初の木造4階建て「モクヨンビル」というところに泊まりました。
1階カフェ、2階宿泊施設、3階コワーキングスペース、 4階レンタル個室と、階ごとに異なる用途が4層吹き抜けを介して一体となった建物です。

目の前に温泉があり、そちらを利用できるのもとても良かったです。

木造の吹き抜け構造が美しい宿です。中央に大きな木が配置され、温かみのある空間が広がっています。

移動してからは壱岐の島の観光に1日使いました。
島の1周が100kmの小さな島なので、レンタカーがあれば1日でほどんど回れます。

前夜祭

前日には前夜祭があったので参加しました。
こちら話に聞くと有名なイベントだとか。マグロ、壱岐牛のローストビーフ。美味しかったです。

焼酎も大量に振る舞っていただいて驚きました。レース前日なのにみんなすごい。リラックスした雰囲気でした。

ウルトラマラソン当日の朝

大会当日、レース開始は5時。

起床時刻は午前3時30分です。朝は小雨が降っていてちょっと寒いくらいでした。

スタート会場の壱岐の島ホール着きました。だいたい4時くらい。

雨が降ってきて真っ暗です。気持ちが萎えそうになります。

ライトを受け取りました。スタートまで、結構な待ち時間があります。
ボランティアの方々がバナナを配っていました。

レース開始

そしてスタート時刻、午前5時。レースが始まります。
ところがこの日は開始直後、大豪雨に見舞われました。土砂降りです。

どうやら昨年も雨だったようですが「昨年よりもひどい」そんな声が周りのランナーからは聞こえてきました。

加えてスタート早々に、けっこうなアップダウンに直面しました。

まだ日の出前なので真っ暗な中、雨が降り続けています。ライトの光だけが頼りです。

快調な前半戦

チェックポイントである猿岩に到達したくらいで雨が上がり、晴天になりました。
今度は日の出とともに、気温が上昇していき蒸されるような暑さになっていきます。

毎回の自分の反省として、長距離レースで飛ばしすぎてしまうということがあります。サハラマラソンでもそのせいで前半パフォーマンスが低下しました。

今回はその反省も活かして、とにかく飛ばさないこと、そして登坂は無理に走らずに歩くという戦術にしました。

結果として前半の50kmは快調に進めていました。
エネルギーについても脂質を使えている感覚がありました。

そして、雨上がりの壱岐の島は、美しかったです。山々に囲まれた道。緑豊かな壁が続く道の向こうに、遠くに海が見えます。

海沿いの道路に出ると、朝日が海面を照らしています。光が道路を輝かせています。

50kmのところでちょうど6時間。11時に到着しました。
着替えや替えの靴をこちらに送っているランナーがいて、流石だなと思いました。

晴れていたので乾いていましたが、あまりにも土砂降りだとここで着替えれるのは良さそうです。

50kmのコースの人はちょうど11時にこちらの地点からスタートなので、自分と入れ違いでした。

後半戦はかなり厳しい戦いに

快調だった前半と比べて、60kmあたりから、変化が訪れました。

だんだんと足が動かなくなっていきます。ジェルも摂取して糖質を入れて行きますが、もう慣性で足を動かし続けるしかありません。

さらに、コースとして徐々に激しくなるアップダウン。体に無理をさせているのだろうと思います。

最初は新鮮だった島の人からの応援や景色もだんだんと飽きがきて、アドレナリンも切れてきて疲労ががっつり来ます。

1kmの進みもだんだんと遅くなってきて、エイドでバスを見るたびに

「リタイアすればバスに乗ってすぐ終われるのに」

「そもそもなんでこんな思いをしてまで100kmも走ってるんだっけ?」

そんな思いで足を動かしていくだけです。

地元の高校生が応援をくれるエイドなどがあって、そこでは力をもらえるのですがそれでも心の余裕がみるみるなくなっていきます。 

最終のロードはもはやトレイルコース

「最後の10kmのアップダウンがすごい」という話はレース開始時のみゃこさんのスピーチでもあったのですが、本当でした。

ウルトラマラソンのすごいところは、レースの80%が終わってもあと20kmというハーフマラソン級の距離がまだ残っているところ。

1km地点ごとに地元の小学生が書いてくれた登りが立っているのですが、やっと1km進んだという思いと、残りがまだまだ長いという現実を突きつけられながら進んでいきます。

そしてようやくあと10kmまでくるあたりで本当にアップダウンが急になります

ただでさえ足を進めるので精一杯で、歩いたら制限時間を越してしまうという状況の中で3回ほど山を超える必要がありました。

もはやロードじゃなくてトレランなのでは?とツッコミをいれながらそれでも進みます。

だいたい、13時間ペースになっていて、それを切れるかどうか?というところで最後は下りを駆け下りる無理をした気がします。こうした無理は若いうちだけにしておきたいです。

そして最終ゴールしました。

ゴールタイム: 12時間57分25秒

長い戦いが終わりました。無事に完走できてよかったです。

レース結果

人生初の100km完走。目標だった13時間を切ることができました。

ラップタイム

前半40kmまでは6分49秒〜7分13秒のペースで快調に進めていましたが、50km地点で8分22秒/kmまでペースが落ちました。気温の上昇と疲労の影響です。
60km以降は7分台〜8分台を行き来しながら、後半になるほどペースは落ちましたが、最後まで歩かずに完走できました。

壱岐ウルトラマラソンを終えて

ウルトラマラソン、やっぱりきついです。

そもそも100km、13時間も走り続けるなんて動物的におかしいと思いました。サハラマラソンよりも辛かったと思いました。走りきったとしても得られるものは「完走」という称号だけですよね。

メンタル面もですが、やっぱり身体の部分が大きいです。
これは走っていて辛い瞬間に考えたことですが、地球上いろんな動物がいて、狩りをする場合でも使うのは瞬発力です。

いくらホモ・サピエンスがアフリカから日本まで移動してきたとはいえ、毎日このスピードで走っていたのでしょうか。もっとゆっくり移動してきたのではないかと思いました。
であれば、そもそもマラソン、その中でもウルトラマラソンなんてものは生物の所業ではないわけです。

ところが後日この話をしたら、ランナーの友人たちからは、

「動き続ける動物はいる。渡り鳥やマグロとかも」

「本能的には取らない行動を取るのが知的生物である人間らしくていいじゃないか」

というようなことを言われました。

「たしかに」とお持ってしまった自分はすでにランナーになってしまったのかもしれません。

でも、サハラマラソンと同じように一つ目標をクリアすると、またしばらくして大会にエントリーしてしまう不思議がそこにはあります。

ボランティアと島民の応援

前から聞いてはいましたが、島民の方々の熱烈な歓迎と応援がありました。

エイドでの応援や、沿道での声援の多さには驚きました。

普段生活していて「応援」を受けることはあまりないように思います。

それこそサハラマラソンに参加したときには多くの応援をいただきましたが、そんな挑戦をしないとおとなになってから「頑張ってね」と言われる回数は減ったように思います。

しかし、東京マラソンのときもそうでしたが、大会では見ず知らずの人から応援をもらえます。

その応援があるから歩いていてもまた走り出そうと思えるし、新記録が出る要因のひとつなのだろうなと思いました。

特に今回は島のどこでも応援をいただき、本当に熱量のすごさを感じました。

壱岐観光もおすすめ

最初こそ雨でしたが、壱岐の島はとてもきれいなところでした。
前日と翌日、島の美味しいものやきれいな場所をたくさん回りました。

かもめの朝ごはん食堂

アジの開き定食が800円で食べられました。おいしかった。

猿岩

辰の島観光

小島神社

壱岐市立一支国博物館

うめしま

高峰温泉

おわりに

壱岐ウルトラマラソンを走り終えて、人生初の100km完走。
13時間を切ることができました。

次のチャレンジは…と聞かれますが、特に考えていないです。
ウルトラマラソンは思ったよりも過酷でした。やっぱり自分はロードよりもトレイルとかのほうが好きかもしれません。

ただ、練習を経て長距離走に対してのハードルが明らかに少なくなりました。20、30kmの練習で2,3時間であればさくっと出れるようにもなりました。

今回の大会で実感したものとして「目標の力」があります。

そうした練習をしようと思ったのはウルトラマラソンの大会を完走するという目標を設定したからだし、誘ってくれた友人からは「リタイアするとしたら練習量不足しかない」と発破をかけられもしました。

目標を置くと、行動が変わって、身体も変わって、見えるものが変わっていくなというのは小さいことですが実感しました。

行動が変わる次の目標も早く見つけられるとよいなと思います。

参考リンク

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