水の都ベネチアの観光記|ゴンドラを逃した雨の一人旅と、晴れた瞬間

水の都ベネチアの観光記|ゴンドラを逃した雨の一人旅と、晴れた瞬間

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ベネチアでの一日は、振り返るとこの旅でいちばん落ち込んだ一日でした。楽しみにしていたゴンドラを乗り逃し、雨と浸水で靴の中はびちゃびちゃ、本気で「もう帰ろうかな」と思ったほどです。それでもこの日は、最後の最後に大きく報われます。水上バスから見た、晴れた瞬間のベネチアのおかげでした。

その一日を、移動のところから順に書いていきます。

ローマからヴェネツィア・メストレ駅への移動

ローマからヴェネチアへは高速鉄道で移動しました。

旅の全貌はこちらです。

2週間ヨーロッパ一人旅の全記録|スペイン・イタリア・ドイツ・イギリス周遊

ヨーロッパではOmioというWEBサービスがかなり便利で、いろいろな地域の鉄道やバスをオンラインで予約できます。

イタリアの高速鉄道には、旧国鉄のTrenitaliaと、私鉄のItaloという2社の路線があります。このときはItaloを使いましたが、30分のあいだに2回ほど途中で電車が止まりました。とはいえ座席もフリーWi-Fiも快適でした。あとでヴェネツィアからボローニャへ移動したときはTrenitaliaの路線で、こちらのほうがさらに快適でした。

ローマからヴェネチアまでの所要時間は、だいたい4時間程度です。

ヴェネツィア・メストレ駅

ヴェネツィアを観光するときに宿泊する場所としては、3つのエリアが人気のようでした。

自分はなるべく費用を抑えたかったので、本島から少し離れたメストレエリアにAirbnbで宿をとりました。ただ、実際に行ってみると、このあたりはあまり治安が良さそうな雰囲気ではありませんでした。人通りの少ない、閑散とした住宅地という感じです。

夜にご飯や買い物で外出したとき、裏道に迷い込んでしまったのですが、どこか物騒な空気で「この場所はまずいかもしれない」と本能的に感じました。お金に余裕がある人は、メストレエリアは避けたほうが無難かもしれません。

駅の近くもお店は少なかったのですが、1軒だけ良さそうな店があったので、そこで食べることができました。

イタリアに来て、昼も夜もピザになってしまいました

ゴンドラに乗りたいと思うが、乗れず

翌日、いよいよヴェネツィア本島へ移動します。観光を調べると、やはり水の都ということで、大きな目玉はゴンドラのようでした。

ゴンドラにもいくつか種類があるようですが、一番はやはり人力のゴンドラです。ただ、現地でこれに乗ろうとすると1艘単位でしか乗れず、しかも当時で80€と高いので、近くにいる人とあいのりを交渉する必要があります。

そうした交渉が面倒な人のためにTiqetsやGetYourGuideといったサービスがあるので、自分もTiqetsを使って予約しました。

なお、自分が乗ろうとした当時のゴンドラは1艘80ユーロほどでしたが、現在の公式料金は昼90ユーロ・夜(19時以降)110ユーロに上がっています(1艘・25〜30分)。これから行く人は最新の料金を確認してください。

ところが、ここで一つやらかします。本島への到着が10:50だったので、少し余裕をみて11:15からのゴンドラを予約していたのですが、発着所が島の反対側で、歩くと30分ほどかかると判明しました。しかも公式の推奨到着時刻は10分前です。

ヴェネツィアは水路だらけで道も細く、バスはありません。歩いて行くしかないのですが、迷ったり人混みに阻まれたりで、思うように進めません。

息を切らして集合場所にたどり着いたのは11:20。係の人にチケットを見せると、あっさり「もう出発したよ」と言われてしまいました。30分も歩き回った末の一言に、その場で力が抜けます。時間には余裕を持つこと、そして集合場所までのアクセスを事前にきちんと確認することの大切さを、身をもって学びました。

あいにくの雨のヴェネツィア

しかも、その日は雨でした。気分は完全にブルーです。

きれいなはずの水の都が、すごくどんよりして見えます

本来の街の美しさは、強風と霞と雨と寒さの向こうに完全に隠れていました。傘もほとんど役に立たず、浸水した道で靴の中までびしょ濡れです。ゴンドラを逃した悔しさも重なって、「これなら滞在する意味もないのでは。もう帰ろうかな」と、本気で考え始めていました。

道が浸水して、移動するのも一苦労。靴の中がびちゃびちゃです

あとで知ったのですが、ベネチアは秋から冬にかけて「アクア・アルタ(高潮)」で道が浸水しやすい時期があります。自分が歩いた水浸しの道も、おそらくこれでした。10〜11月ごろに行く人は、防水の靴があると安心だと思います。

カフェとパスタで立て直す

そうはいっても、せっかく来たのだから、と方針を変えます。室内で楽しめる場所や美味しいものに切り替えようと、まずは腹ごしらえをしながら今後の予定を立て直すことにしました。

ネットで見つけた店に入ると、ボンゴレパスタがめちゃくちゃ美味しくて、沈んでいたテンションが少し戻ってきました。

このお店、紹介ブログの記載よりもかなり値上がりしていて、円安とインフレの影響を肌で感じました。

やっぱり美味しいものを食べるのは大事です。元気が出ました

水上バス「ヴァポレット」に乗ってみる

それでも、ゴンドラを逃した悔しさはどうしても拭えません。そこで、先ほどのブログで紹介されていた「ヴァポレット」という水上バスに乗って、気を紛らわすことにしました。

ヴェネツィア駅のほうまで戻ってチケットを買い、乗り込みます。このヴァポレットもなかなか複雑で、街なかを2系統の路線が走り、それぞれ時計回りと反時計回りで合計4種類あります。

しかも人は大混雑で、満員電車並みです。20分ほど並んでようやく乗れたと思ったら、本来は時計回りに乗るべきところを、反時計回りのルートに乗ってしまっていました。

また、やらかした。そう肩を落としかけたそのとき、窓の外で天気が一変します。

本来の晴れたヴェネツィアに出会う

ヴァポレットに揺られていると、雨が止み、雲の切れ間から空が晴れてきました。

「これは晴れているうちに、もう一度街なかへ戻らないともったいない」。そう思った自分は、次の停留所で逆方向のヴァポレットに乗り換えます(チケットは有効時間内なら何度でも乗り換えできます)。

乗り換えた便はガラガラで、前方に8つしかない座席に余裕で座れました。混雑する駅で乗るより、一駅戻ってから逆方向に乗ると座れる、という小さな発見です。

そして、水上から見た晴れのヴェネツィアは、本当に美しいものでした。さっきまでどんよりと沈んでいた街と同じ場所とは思えません。「水の都」と呼ばれるとおり、水路を活かした建物やゴンドラ、街じゅうに張り巡らされた小さな水路の光景が、晴れた光の中で一気に輝き出します。ゴンドラを逃した悔しさが、すっと溶けていくのがわかりました。

水路を活かした建物の構造がきれいです 晴れているだけで、こんなに美しい

同じ場所でも、天気でここまで表情が変わるのか、と改めて感じた一日でした。

雨のときは、やっぱりいまひとつ 晴れると水たまりまで美しく見えました

こうしてヴェネツィアの街を最後にはしっかり堪能でき、次のバレンシアへ向かうため、高速鉄道でボローニャ空港まで移動しました。

今から行く人へ:入島税のこと

自分が行ったときはまだありませんでしたが、ベネチア本島では2024年から日帰り観光客向けの「入島税」が導入されました。2026年も、4〜7月の主に金・土・日を中心とした「有料日」に日帰りで歴史地区へ入る場合、事前登録のうえ1日5ユーロ(直前の支払いだと10ユーロ)が必要です。本島に宿泊する人は支払いは免除されますが、登録自体は必要とされています。対象日や金額は年によって変わるので、行く前に最新情報を確認してください。

おまけ:ライアンエアーが遅延した話

ボローニャ空港から乗るバレンシア行きのフライトは、ヨーロッパの格安航空「Ryanair」を利用しました。ところが、22:40の出発予定が遅れに遅れ、搭乗予定は0:35まで後ろ倒しに。

2時間の遅延は、なかなかの絶望です

バレンシアでのチェックインの都合もあって困り果て、調べてみると、ヨーロッパでは2時間以上の遅延で補償金が出ることがあるそうです。しかし今回はぎりぎり115分の遅延で、対象になりませんでした。

結局、到着したのは夜中の3時近く。泣く泣く宿には向かわず、朝まで空港で過ごしました。

スペインの最初の思い出は、飛行機から見た夜景でした

——これが、自分にとって初めてのスペインでした。このときは深夜の空港でただ疲れていただけでしたが、数年後、自分はそのスペイン(バルセロナ)に移り住むことになります。ゴンドラを逃して雨に降られたベネチアの一日も、晴れた水路の景色も、いま振り返ると、ヨーロッパで暮らす自分の原点のひとつだった気がしています。

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井上 周(Amane Inoue)の個人ブログです。技術・読書・ドラマ・旅・大学生活のことを書いています。