バルセロナで部屋を見つけるまで — 民泊規制の街での家の探し方

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移住して最初に必要になるのが、住む場所です。自分も渡航前は「現地で idealista を眺めれば、いい部屋が見つかるだろう」と気軽に考えていました。ところが実際に探し始めると、バルセロナの賃貸は日本とだいぶ勝手が違って、サイトを眺めるだけでは決まりませんでした。

バルセロナの家探しをこれから始める方は、同じ場所でつまずくのではないでしょうか。調べてみると、家賃が高いのにも、いい部屋がすぐ消えるのにも、ちゃんと背景がありました。これから移住する人がつまずかないように、家の探し方を自分なりに整理しておきます。

背景にある民泊規制と家賃高騰

まず押さえておきたいのが、バルセロナが今、観光客向けの短期賃貸(いわゆる民泊)をかなり厳しく規制している点です。市は新しい観光ライセンスを長く発行しておらず、既存の許可も2028年までにすべて失効させる方針を打ち出しました。市内に約1万件あるとされる観光物件を、地元の人が住む長期賃貸に戻すための施策です。

狙いは家賃の高騰を抑えることですが、移住したばかりで腰の据わらない側からすると、最初のつなぎに使いやすい短期の物件が減っていく、という面もあります。家賃そのものも上がり続けていて、いい条件の部屋は出るとすぐに埋まります。

なお、こうした規制や契約のルールは頻繁に変わります。この記事は自分が調べた時点の整理で、法的なアドバイスではありません。実際に契約する前には、必ず最新の一次情報や専門家に確認してください。

「31日」で変わる契約の種類

バルセロナで部屋を借りるとき、最初にとまどったのが契約の種類でした。スペインの賃貸は、滞在日数でおおきく3つに分かれます。

  • 1〜31日: 観光用の短期賃貸。物件側に観光ライセンス(HUT)が必要で、上の規制の対象になる枠
  • 32日〜11か月: 一時賃貸(contrato de temporada)。留学や赴任、移住直後のつなぎに使われる中期の契約
  • 12か月以上: 長期賃貸。個人が貸す場合は法律上、最低5年の借り手保護がつく

ポイントは「31日」の線引きです。30泊までと32泊からでは、まったく別の契約区分になります。移住直後でまだ腰を据えられない段階だと、観光枠でも長期でもなく、真ん中の「一時賃貸」がいちばん現実的な選択肢になりました。

「部屋貸し」と「家貸し」は別物

もうひとつ、探し始めて分かったのが、貸し方に2種類あることです。住戸まるごとを借りる「家貸し」(piso)と、一軒をシェアして一部屋だけ借りる「部屋貸し」(habitación)です。

家貸しは自由度が高いぶん、家賃も初期費用も大きく、保証や書類のハードルも上がります。一方の部屋貸しは、すでに人が住んでいる家の空き部屋に入る形なので、入居のハードルが低く、移住したての自分にはこちらが現実的でした。検索サイトでも、この2つは最初からカテゴリが分かれています。まず自分がどちらを探しているのかを決めると、ぐっと探しやすくなりました。

idealista だけでなく「人づて」が効く

物件サイトでいちばん掲載数が多いのは idealista です。エリアと家賃で条件を絞り、新着が出たら通知が届くように設定すると、相場感はすぐにつかめます。まずここで「自分の予算でどんな部屋があるのか」を眺めるのは、出発点として有効でした。

ただ、自分が最終的に部屋に入れたのは、サイト経由ではありませんでした。Facebookの移住者コミュニティや、知り合いのつてで部屋を貸している人を紹介してもらう——いわゆるリファラル(紹介)が、いちばんの近道だったのです。実際、人気の部屋はサイトに載る前に、コミュニティの中で決まってしまうことも少なくありません。

だから家探しは、idealistaで相場をつかみつつ、同時にコミュニティに顔を出して「部屋を探している」と発信しておく。この二段構えがいちばん効くというのが、自分が動いてみての実感でした。

バルセロナの家探しは、ただ物件サイトをスクロールする作業ではありませんでした。民泊規制で短期の選択肢が細っていること、「31日」で契約区分が変わること、部屋貸しと家貸しは別物であること。こうした背景を知らないまま idealista だけを眺めていた数日間は、いま思えばかなり遠回りでした。

そして最後にものを言ったのは、サイトよりも人とのつながりだったというのが、自分にとっていちばん意外な発見でした。部屋を探すというより、人に「探している」と伝えて回る。バルセロナの家探しは、そういう街の歩き方そのものだったように思います。

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井上 周(Amane Inoue)の個人ブログです。技術・読書・ドラマ・旅・大学生活のことを書いています。