【書評】『キケン』(有川浩)を読んだ感想。男子の心を忘れていませんか?

【書評】『キケン』(有川浩)を読んだ感想。男子の心を忘れていませんか?

こんにちは、あまねです!
今日は小説の感想です。
先日、有川浩さんの『キケン』という小説を読みました。
今回はその感想を書きたいと思います。

結論から言うと、この本はとても親近感が湧く本でした。
それでは本文です。

『キケン』のあらすじ

この本のタイトルにある「キケン」という単語は、主人公である元山高彦が入学した成南電気工科大学にある「機械制御研究部」の略称。
大学や高校の部活・サークルではよくありがちですが、元山くんもキケンの先輩からなかば強引な勧誘を受け、キケンのメンバーになります。

学生のほぼすべてが男子という工科大学のサークルで青春を送る元山くんとその仲間たちの青春ストーリーです。

男子校出身、工学部にいる見としては親近感が湧いた。

『キケン』を読んだ感想:男子の世界について

この『キケン』の中に描かれているのは、まぎれもなく男子の世界です。
工業系の大学、高校、あるいは工学部にありがちなのですが、学生はほとんどが男子。
その世界で繰り広げられるたくさんの青春がここに詰まっていました。

僕自身、高校は男子校出身で、大学でも工学部に進んだので、とてもよくわかるところがあります。
けれど、「キケン」の作者である有川さんは女性であるから少し驚きです。
女性の目から見ると男子の世界ってこんなふうに映っていたのかなと思いながら読みました。

「キケン」に描かれている男子の世界は「目の前のことに夢中になれる世界」なのだと思います。
男子ってわりとそういうところがあって、気持ちが盛り上がったらノリでやる、とか、ハマったら徹底的にハマったりします。

昔からよく女の子たちから「男子は馬鹿やってる」とか「委員会の仕事とかをちゃんとしてくれない」とか文句を言われてきた思い出があります。
でも、それって僕たちが真剣に生きてないとか、ふざけているわけじゃないのかなと思いました。
むしろその逆で、全力でふざけているんですよね。

自分たちが「面白い」と思ったものに対してまっすぐに向き合って熱中する。
逆に、今面白いと思っていないものに対しては興味がない。
今やりたいことがあるんだから放っておいてくれ。
男子ってこんな特性を持ってるんじゃないかなと思います。

でも男子の中でも個性はやっぱりあって、女の子に興味がいってひたすら女遊びに走るやつもいれば、逆に科学の世界に熱中したり、ゲームにハマりまくるやつもいるんです。

けれど、段々と大人になるとそんな男子たちもだんだんと現実と向き合うようになるんですよね。
進路は?就職は?結婚は?
質問を繰り返しながら男子はいつのまにか男性へと変化します。

僕はそれって寂しいなと思うんです。
目の前のことに熱中して、本気で取り組んで、心を動かして。
それってすごく鮮烈にいきるというか、全力でいきているような気がします。

僕もだんだんと年齢を重ねていくけれど、いつまでそんな「男子」でいることができるのだろうか、ふと思いました。

そして、できるなら目の前のことにずっと真剣に取り組める「男子」でいたいとも思いました。
「男子の心」を持ち続けていたいな、と。

そんな男子の心を思い出させてくれる小説でした。