
金沢から能登を日帰り観光した体験記|別所岳SA・千枚田・見附島を巡った1日
この記事は2018年の訪問記録です。2024年1月の能登半島地震で、能登半島は大きな被害を受けました。ここで紹介する見附島や白米千枚田も被災しており、現在は当時と状況が異なります。あくまで「かつて自分が見た能登」の記録として読んでいただければと思います。能登の一日も早い復興を願っています。
大学3年の夏、友人とのLINEで「能登に行きたい」という話になりました。特別な理由はなかったと思います。「今度遊ぼう」「どこがいい?」「能登行きたい」という、それだけのやり取りで日程を決めて、金沢から日帰りで出発しました。
今でも覚えているのは、見附島の岩場を「意外とキツい」と笑いながら歩いたことや、千枚田の前で「海のそばで農業しようなんて怠け者の発想だよ」と冗談を言い合ったことです。
別所岳サービスエリアでブルーベリーかバニラか
のと里山海道(石川県の内灘町から穴水町を結ぶ自動車専用道路)を走ると、能登半島がいきなり近くなります。金沢から車で能登を日帰りするのが現実的になったのは、この道路のおかげです。
その道中にある別所岳サービスエリアが最初の目的地でした。高台に位置するSAで、ここには「ゆめてらす」という展望デッキがあります。晴れた日には能登の山並みと日本海が一望できて、その日も青空と緑が広がっていました。
SAに着いてまず向かったのはソフトクリームの売り場です。能登のブルーベリーを使ったソフトクリームがあって、バニラにするかブルーベリーにするかミックスにするか、さんざん悩みました。自分はブルーベリーを選び、友人のひとりはバニラを選んで、あとからわが道を後悔していました。「やっぱりブルーベリーにすれば良かった」。旅先のこういう小さな選択は、なぜか覚えています。
展望デッキでは全員でジャンプしながら写真を撮りました。「これだけでもう来た甲斐あったな」と誰かが言っていました。


白米千枚田――青が二重になる景色
白米千枚田は、急傾斜の海岸線に約1,000枚もの小さな棚田が連なる場所です。日本の棚田百選に選ばれ、世界農業遺産「能登の里山里海」の一部としても登録されています。農機が入らないため今も手作業で管理されていると聞きます。
柵の外に立って眺めたとき、海の青と棚田の水面の青が重なって見えました。空が棚田の水面に映り込んでいるから、青が二段になっているような感覚です。「海のすぐそばで農業しようなんて、怠け者の考えたことだよ」と友人のひとりが言って、笑いながら異論を出し合いました。


近くで売っていた千枚田のお米のおにぎりを買って食べました。「ここで育ったお米だよ」と分かって食べると、なんとなくおいしさが増す気がします。

予定外の店で食べた海鮮丼
千枚田を出たあと、昼食に能登丼を食べようと庄屋の館を目指したのですが、到着したら「準備中」の看板が出ていました。「あーあ、どうしようか」と少し戻ったところで、「今新」という小さなお店が目に入りました。
民家のような雰囲気の店内から、能登の海が一望できます。店主が獲ってきたという穴子丼や海鮮丼がメニューに並んでいて、値段は1,500円前後でした。窓の向こうには海が広がっていて、その日の光の中でごはんを食べました。
予定していたお店に振られてたどり着いた場所なのに、こちらのほうが印象に残っています。旅はこういうことがあるから面白い、とそのとき思いました。

見附島――岩場で笑った午後
最後に向かったのが見附島です。別名「軍艦島」と呼ばれる、珠洲市にある高さ約30メートルの岩礁です。軍艦に似た形から名付けられたと言われていて、能登を代表する景観のひとつです。
この日は快晴でした。夏の青空をバックにそびえる島の姿が鮮明で、砂浜から島に向かって岩場が続いているのが見えました。「せっかくだから島の近くまで行ってみよう」と歩き始めました。

岩場は滑ったり、足を取られたりと、意外なほどハードです。「なんか聞いてた感じより全然キツいよ」「そうそう、全然楽じゃない」と言い合いながら、それでも笑いながら歩きました。島の近くまでたどり着いたとき、後ろを振り返ると砂浜がずいぶん遠くなっていました。
あの岩場は、2024年の地震で大きく崩れました。自分たちが歩いたあの形の岩場は、もう同じ状態ではありません。それを知ったとき、あの午後の笑い声がどこか遠いものに感じられました。感動したとか悲しいとか、そういう言葉には収まらない感覚でした。あの日があったということを、記録に残しておきたいと思いました。
この記録を残す理由
別所岳SAから千枚田、今新の海鮮丼、見附島まで、能登の主要スポットを1日でぎゅっと回れるコースです。金沢から車でのと里山海道を走れば、朝早めに出発すれば余裕をもって各スポットを回れます。能登半島は南北に細長い地形で、車での移動が基本になります。
ただ、今この記事を書いている目的は、観光案内だけではありません。あの日の景色と、あの日笑っていた友人たちと、岩場のキツさと一緒に食べた海鮮丼のことを、残しておきたかったのです。
復興が進んだら、また能登を訪れたいと思っています。見附島の近くをもう一度歩きたいと思っています。
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