
富士登山の体験記|初心者の学生が吉田ルートで登った持ち物・費用・スケジュール
富士山には、登頂してみてはじめてわかることがあると思っています。それは絶景でも達成感でもなく、「眠れない夜」と「午前2時の星空」の組み合わせです。
大学4年の夏、登山経験がほぼゼロの状態で、友人と後輩3人で吉田ルートから富士山に登りました。「やりたいことがあるなら、今のうちにやるしかない」と春に言い出して、その夏に決行した旅です。
登山前に決めた3つのこと
何から手をつけていいかわからず、まず調べたのは「いつ」「どこから」「どんな日程で」の3点でした。
富士登山のシーズンは7月から9月上旬です。9月は寒さが過酷になるというのを知って、前倒しして7月の3連休に決めました。ルートは初心者に向いているとされる吉田ルートを選択。複数のルートを比較しましたが、案内が充実していて道がわかりやすかったので、初心者にはここが一番だと思います。
登り方のプランは3択でした。夜に登って山頂でご来光を見るパターン、山小屋で一泊して山頂でご来光を見るパターン、山小屋に泊まってから山頂を目指すパターン。山小屋に問い合わせると「ご来光目当てで登る人の渋滞ができる」「山小屋からでも十分きれいに見える」とのことでした。初心者3人組だったので、いちばんゆったりした3つめのプランを選びました。この選択は、結果的に正解でした。
往路:金沢から下道で12時間
金沢を10時に出発し、高速を使わず下道でのんびり向かいました。学生だったのでお金を節約したかったのと、急ぐ旅でもなかったので。富山、岐阜、長野を抜けて山梨へ。山奥をひたすら川に沿って走るルートで、奥飛騨で鶏ちゃん丼を食べ、長野を抜けた夜は山梨名物のほうとうをいただきました。
麓の民宿に着いたのは21時半ごろ。一泊4,000円と安く泊めてもらえたのはよかったのですが、翌朝のことを考えると落ち着かず、なかなか眠れませんでした。
1日目:五合目から七合目の山小屋へ
翌朝は10時出発でゆっくりめのスタートです。近くのショッピングモールで携帯食と飲み物を買い出しし、富士北麓駐車場へ向かうと、駐車場手前から長い渋滞ができていました。さらにここで、ガソリンが尽きそうなことに気づきました。ガソリンは入れられるうちに入れておくのが鉄則です。 結局、駐車場に着いたのは12時半でした。
五合目行きのバスに乗って、ウェアのレンタルを受け取り、少し時間をとって体を慣らしてから登山開始。高山病を防ぐためにも、五合目で時間をとることは大切だと後から知りました。七合目の山小屋「トモエ館」に着いたのは17時ごろです。夕食のカレーを食べて19時には横になりました。
ところが、眠れませんでした。体は疲れているのに、目がギラギラして全く落ちません。アドレナリンのせいか、標高のせいか。22時ごろ、いったん外に出て空気を吸ったら、その後はようやく眠ることができました。
2日目:星空と、登山道でのご来光
起床は午前2時。睡眠3時間で頭はまだぼんやりしているのに、外に出た瞬間、完全に目が覚めました。
満天の星空でした。 今まで生きてきた中でいちばんきれいな星空で、「降るような」という表現がそのまま当てはまる光景です。そこまで消費されてきた言葉が、初めてちゃんと意味をもった気がしました。その星空の下を、ヘッドライトの明かりを頼りに、3人でひたすら登っていきました。
4時15分ごろに8合目へ到着すると、東の空が明るくなり始めていました。晴れている、見られる、と3人で顔を見合わせました。少しでも進もうと足を止めずに歩き続けて、登山道の途中でご来光を迎えました。感無量、というのはこういう瞬間のことを言うのだと思います。
吉田ルートの頂上まで:登山開始から19時間
ご来光のあと、空気の薄さが本格的に効いてきました。休憩の回数が増えて、足が重くなります。それでも3人で声をかけながら歩き続け、9合目を越えてついに頂上へ。時刻は9時ごろ。五合目を出てから19時間後のことでした。
火口を一周する「お鉢めぐり」は体力的にも時間的にも断念しました。10時に下山開始。下りは砂利道でかかとが滑るため、かかとから踏み込む前提か、小股でちょこちょこ歩くと下りやすかったです。山小屋が多い登りと違い、下り道は補給場所がほぼないのでノンストップで進みます。14時に五合目着、15時に出発し、1時間ほどの「みたまの湯」で全身をほぐしてから帰路につきました。
持ち物:役立ったものと不要だったもの
登ったのは7月中旬。ウェア類はほとんどレンタルで揃えました。
レンタルしたもの
- レインウェア上下、ヘッドライト、リュックサック(ザック)、ザックカバー、トレッキングポール、スパッツ
持参した服
- 速乾性の化繊インナー、長袖スポーツシャツ、スポーツタイツ、ハーフパンツ、トレッキングシューズ、フリース、ウルトラライトダウンベスト、ソックス
帽子・サングラス・ネックウォーマーは大活躍でした。逆にダウンベストと軍手は、自分には不要でした。日焼け止めは耳に塗り忘れて、下山後も耳から熱が抜けなかったので要注意です。
携帯食
- 水 500ml × 3本、柿の種、スニッカーズ、塩分チャージタブレット、お徳用ミニドーナツ、ようかん、グラノーラ
水は自分にはやや足りなかったので、山の途中でもう1本買い足しました。柿の種とドーナツは持久力が出た気がしてよかったです。グラノーラは大袋で持って行ったのが失敗で、小分けにするか、ドライフルーツにすべきでした。携帯食の総額は一人あたり1,500円ほどでした。
富士登山でかかった費用(2018年実績)
3人で割り勘した項目もあります。2018年当時の実績値です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| ガソリン代(3人で割り勘) | 8,000円 |
| 高速代(3人で割り勘) | 8,000円 |
| 民宿(前泊) | 4,000円 |
| 山小屋(七合目トモエ館) | 8,300円 |
| 食料・携帯食 | 1,500円 |
| ウェアレンタル | 10,000円 |
| 駐車場代 | 1,000円 |
| 山頂での御朱印 | 1,000円 |
| トイレ代など | 500円 |
| 合計 | 約32,500円 |
ウェアをレンタルでまかなった分、装備費はかかっていません。山の上では水・トイレ・ロッカーなどこまごまと現金が必要なので、小銭は多めに持って行くといいです。
反省:五合目に着替えを持っていくべきだった
一つだけ失敗があります。登山用のウェアのまま五合目まで行ってしまい、帰りの着替えを駐車場の車に置いてきてしまいました。下山後に着替えがないのは地味にきつかったので、着替えは五合目まで持って行くほうがいいです。
あの2時の星空は、登ってみた人にしかわからないと思います。富士山に登る計画を立てているなら、山小屋泊のプランで早めの予約だけはしておくことをおすすめします。7月の3連休は、直前だと山小屋がほぼ埋まっています。
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