村上龍『希望の国のエクソダス』感想——20年前に書かれた日本の現状が今も刺さる
起業家の家入一真さんが「出会う起業志望の大学生すべてにすすめている」とツイートしているのを見て読みました。就活を終えた大学4年生のときです。
本書の内容
フリーの記者・関口を語り手に、日本中の中学生が集団不登校を起こし、インターネットを使って自分たちで組織を作っていく物語です。小説でありながら高齢化・メディアの問題・政府の無策などが具体的に描かれており、社会批評としての側面が強い作品です。
読みどころ
日本の現状がそのまま描かれる
居酒屋で群れているサラリーマンを見てください。彼らにしかわからない貧弱な言葉で、群れの中で笑い、群れのなかで叫ぶだけです。個人として対面すると何も話せない。
どうして俺たちの政府には度胸がないんだろう。一兆ドルくらい集めないと意味がないよ、こういうときは。
こういった描写が随所にあり、フィクションでありながら現実を突きつけられます。
中学生たちへの共感
彼らの主張がこれです。
学校では、どういう人間になればいいのかわからなくなるばかりで。勉強しろ、いい高校に、いい大学に、いい会社に、いい職業に、ってバカみたいにそればっかり。
この本が書かれたのは20年以上前ですが、大学生だった自分も同じような感覚を持っていました。日本の教育はそれほど変わっていないのかもしれません。
テクノロジーによる常識の破壊
中学生たちはインターネットを使い、上下関係や固定したオフィスといった大人の「常識」を持たない組織を作ります。既存の秩序が外側から壊されていく様子が描かれています。
読んで感じたこと
日本の同調圧力の中にいることへの気づきがありました。「外を向けばもっと広がっているのに、内側に目を向けて安心している」という感覚は、今でも当てはまる部分があります。
今の日本にどことなく生きづらさを感じている人、日本の教育や社会の仕組みに疑問を持ったことがある人に向いています。
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