ネットワークスライシングとは?5G時代のネットワーク技術をわかりやすく解説

ネットワークスライシングとは?5G時代のネットワーク技術をわかりやすく解説

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こんにちは、あまねです。今日は5G時代のキーテクノロジーの一つ、「ネットワークスライシング」についてまとめてみます。

名前だけ聞くと難しそうですが、考え方自体はとてもシンプルです。「1本の物理的なネットワーク回線を、仮想的に複数の回線に分割して使い分ける」というものです。

ネットワークスライシングとは?

ネットワークスライシングとは、1つの物理ネットワークを仮想的に複数のネットワーク(スライス)に分割し、用途に応じて使い分ける技術です。

わかりやすく例えると、1本の高速道路を「緊急車両専用レーン」「一般車レーン」「物流トラック専用レーン」のように仮想的に分けるイメージです。同じ道路(物理ネットワーク)を走っているけれど、それぞれのレーン(スライス)は独立していて、互いに影響しません。

なぜネットワークスライシングが必要なのか

背景にあるのは、ネットワークに接続するデバイスの爆発的な増加です。

昔は1人1台の携帯電話だったのが、今はスマホ、タブレット、スマートウォッチ、IoTセンサー、スマート家電……と、1人あたりの接続デバイスがどんどん増えています。さらに、これらのデバイスが求める通信の「質」もバラバラです。

例えば:

  • 自動運転車:遅延が1ミリ秒でも発生したら事故に繋がる可能性がある。とにかく低遅延・高信頼が必要
  • 4K/8K動画のライブ配信:大容量のデータを高速に送る必要がある。多少のパケットロスは許容できる
  • IoTセンサー(温度計、湿度計など):データ量はごくわずかだけど、数千〜数万台が同時に接続する

これらを全部同じネットワークで同じように扱っていたら、非効率ですよね。自動運転に必要な低遅延の通信が、動画配信のトラフィックに圧迫されてしまう、なんてことが起きかねません。

そこで、用途ごとにネットワークを「スライス」して、それぞれに最適な通信品質を割り当てよう、というのがネットワークスライシングです。

具体的にどう分けるの?

5Gで想定されているネットワークスライスは、大きく3つのカテゴリに分けられます:

1. eMBB(enhanced Mobile Broadband)

大容量・高速通信向けのスライス。4K/8K動画、VR/AR、クラウドゲーミングなどが該当します。とにかく速度が欲しい用途です。

2. URLLC(Ultra-Reliable Low-Latency Communications)

超高信頼・低遅延向けのスライス。自動運転、遠隔手術、工場のロボット制御など、遅延が許されない用途です。速度はそこまで必要なくても、「絶対に遅れない・途切れない」ことが求められます。

3. mMTC(massive Machine Type Communications)

大量接続向けのスライス。IoTセンサーやスマートメーターなど、1つ1つの通信量は小さいけれど、膨大な数のデバイスが同時に接続する用途です。

このように、同じ物理ネットワーク上に目的別の仮想ネットワークを作り、それぞれに帯域・遅延・信頼性の最適なパラメータを設定するのがネットワークスライシングの仕組みです。

支える技術:SDNとNFV

ネットワークスライシングを実現するために、2つの重要な技術が使われています。

SDN(Software Defined Networking) は、ネットワークの制御をソフトウェアで行う技術です。従来はルーターやスイッチに個別に設定していたのを、ソフトウェアで一元管理できるようにします。これにより、スライスの作成や変更を柔軟に行えます。

NFV(Network Functions Virtualization) は、従来ハードウェアで実現していたネットワーク機能(ファイアウォール、ロードバランサーなど)を仮想化する技術です。物理的な機器を用意しなくても、仮想マシン上でネットワーク機能を動かせるので、スライスごとに必要な機能を柔軟に組み合わせることができます。

この2つの技術があるからこそ、1つの物理ネットワークの上に、用途別の仮想ネットワークを柔軟に作れるわけです。

現在の普及状況

5Gの商用サービスは世界中で展開が進んでおり、ネットワークスライシングも徐々に実用化されてきています。

日本では大手キャリアが法人向けにネットワークスライシングのサービスを開始しており、工場のスマートファクトリーや、スタジアムでのライブ配信などの分野で活用が始まっています。一般消費者向けにはまだ目に見える形で提供されているケースは少ないですが、今後5G SA(スタンドアロン)の普及とともに広がっていくと見られています。

エッジコンピューティングとの関係

ネットワークスライシングは、エッジコンピューティングと組み合わせるとさらに強力です。エッジでデータの種類を判別し、適切なスライスにルーティングすることで、ネットワーク全体の効率を最適化できます。例えば、工場のエッジサーバーが「このデータは緊急性が高いからURLLCスライスで送る」「このデータは定期レポートだからmMTCスライスで十分」といった判断をリアルタイムで行う、といった使い方です。

まとめ

ネットワークスライシングは、1つの物理ネットワークを用途別に仮想分割する技術。5G時代に多様なデバイス・多様な通信ニーズに対応するための、重要な基盤技術です。

「全部同じ回線で流す」から「用途に合わせて最適な回線を使い分ける」へ。シンプルな発想ですが、これを実現する技術(SDN/NFV)と組み合わせることで、ネットワークの使い方が大きく変わっていきます。

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