社会人と大学生で何が違うか——半年働いて気づいた時間・責任・お金の変化

8分で読める大学生活
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10月に入って、新社会人としての半年が終わりました。このタイミングで振り返りの意味も込めて書いてみます。フレッシュな感覚が薄れる前に残しておきたいと思いました。

時間の制約が想像以上に違う

「平日毎日働かないといけないのがツラい」という新社会人あるある話を聞いていました。自分は理系なので学部4年から大学院まで平日は毎日大学に通っていたため、「それほど変わらないだろう」と高をくくっていましたが、意外とそうではありませんでした。

研究室では個人で研究を進めていたので、時間をフレキシブルに動かせました。就活で1日空けることも、課外活動の予定を土日に回すことも、比較的自由に調整できる環境でした。

今の職場もフレックス制度があるので、勤務時間そのものは柔軟です。ただ、MTGがある以上は個人の都合だけで動かすわけにはいかないし、土日は基本的に稼働しない仕組みなので、そのあたりの制約が積み重なります。「その日にやっておきたいことを片付ける」をやっていると気づけば夜になっていて、平日に自分のためのまとまった時間を確保するのが難しくなります。

結果として土日に、体を休めることと趣味・勉強・やりたいことを全部詰め込む形になって、てんこ盛りのスケジュールになりがちです。

タスクの責任量と難度

時間の変化とセットで感じたのが、タスクに伴う責任の重さです。

学生時代にも学生プロジェクトのリーダー経験はありましたが、仕事は関わる全員が生活をかけて本気で取り組んでいるものです。大きなミスが出れば、極端な話、路頭に迷う人や家族が出てくるかもしれない、という意味での責任の重さがあります。

また、インターン生に渡せるタスクは責任の小さいものに限られます。既存事業への影響が少なく、失敗しても許容される範囲のもの——成功するかどうか不確かな新規事業創出のインターンが多いのも、社会人になってから「なるほど、そういうことか」と思いました。

学生時代に講演や本・社会人の先輩から聞いた言葉があります。

  • 期待値をちょっと超えること
  • 自分よりも一歩上の立場で考えること
  • 自分の責任の外のことを考えること

大学生のころは「簡単そう」と思っていましたが、こなすべきタスクの量が増えて責任も重くなると、日々の役割を果たすことで手一杯になってしまい、それ以上を常に意識するのが難しいと実感しました。ただ、手一杯になるだけでは仕事が「やらされるもの」になってしまうので、「自分はどうしたいのか」「もし自分だったらどうするか」を仕事に出していくことを意識するようにしました。

お金の感覚が変わる

学生時代に「ライスワーク」と「ライフワーク」という言葉を聞きました。食べるために働くライスワークと、人生をかけて成し遂げるライフワークの2種類があるという話です。当時は「給料の額面で一喜一憂するような社会人にはなりたくない」と思っていました。

社会人になって実感したのは、お金と自分の人生は切り離せないということです。月に5,000円の違いが1年で60,000円になって、10年で見ると60万円になります。その60万円があれば半年休んで旅に出ることも、結婚資金に充てることもできる。人生の選択肢が増えるということです。

一方で「20代は経験に投資しなさい」という話も聞いていて、20代のうちに積んだ経験が30代以降の収入に差をつけるというのも、たしかにそうだと感じます。お金の使い方を完全に自分で決められる分、その責任も自分に返ってくるのが社会人です。

東京はいいぞ(2021年当時の感想)

就職を機に金沢から東京に出てきました。現在はスペインに移住していますが、2021年当時の感想として残しておきます。

住む前は「東京に行ってもいいことがあるのか」と半信半疑でしたが、いざ住んでみると全然違いました。半径500m以内にあらゆる施設が揃っていて、公共交通機関が発達していて、街に出れば常に新しいものがある。WEB業界やスタートアップが東京に集中していることもあって、そのスピード感の中から地方を見ると、また見え方が変わります。一度住まないと分からないことが多かったと思います。

プロとして書くコードの意味

大学生時代もインターンや個人開発、研究でコードを書いていましたが、仕事ではその意識を意図的に変えるようにしました。

学生のときはバグがあっても、一度目的を達成すれば気にしなくてよかったです。ハッカソンで作ったもの、研究の実験のためのコードなら、それで十分でした。でも仕事で作るソフトウェアは作って終わりではなく、作った後も動き続けることを保証しなければなりません。動き続けることが価値につながるので、品質そのものがプロのソフトウェアエンジニアとして提供する価値になります。

もう一つ、研究との大きな違いが「見積もり」です。研究では「できませんでした」も知見として価値がありましたが、ビジネスでは稼働した人件費が発生している以上、アウトプットが出なければ予算の無駄遣いになります。技術的にできるのかどうか、どのくらいの工数でできるのかを見積もる精度が、プロとして問われる場面がすごく多いです。このシビアさは入社してから実感したので、改めて勉強しました。

大学生に戻れるなら

ここまで書きながら「もし大学生に戻れるなら何をするか」と考えました。

「もっとコードを書いてもよかったかもしれない」という気持ちはあります。社会人になると自分の時間も減り、仕事で作るものには責任が伴うので、好きなように作れる時間はなかなか取れません。一方で、もし学生時代に一人でコードを書き続けていたら、アドバイスをもらった社会人と出会うこともなかったし、本と出会うこともなかったかもしれない。そう思うとトレードオフでもあります。

地方にいるなら一度東京やあるいは海外のスタートアップでガチにインターンする経験はしてみたかったです。地方では長期インターン先を探すだけでも苦労したし、東京のスタートアップと比べると温度感や人が違うと感じます。そういう環境に一度身を置くと、就活への向き合い方も変わるんじゃないかと思いました。

結局のところ、学生時代に何かに本気で熱中した経験が、社会人になってからフラッシュバックして活きることが多いです。本気でやったものほど学びが深く、意外な場面で使えます。

今、思っていること

半年を振り返って書いてみると、自分はまだまだ新人の域を出ていないと改めて感じます。ただ、就活時代に「自分は何がしたいんだろう」と悩んでいたころよりも、今のほうが自分のやりたいことの輪郭はつかめてきた気がしています。

学生のころは働いた経験なしに「社会に出てどう働きたいか」を問われていたわけで、それは本当に難しい問いでした。でも社会人になって時間・お金・やりたいことの全部が変わったとき、それでも変わらないものが自分の人生にとって大切なことなんだろうと思います。

「世界に出たい」という気持ちはそういう意味でまだ変わっていません。留学したくて院に進みましたが、コロナで中止になってしまいました。でも世界にはいろんな人がいるし、いろんな問題があって、世界の人と協力しながらそういう問題に向き合っていきたいという感覚は残っています。

今考えていることは今しか残せないから、書くようにしました。

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井上 周(Amane Inoue)の個人ブログです。技術・読書・ドラマ・旅・大学生活のことを書いています。