初めてのトレイルランニング大会に出た話——準備から65km完走まで

初めてのトレイルランニング大会に出た話——準備から65km完走まで

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この記事はnoteに掲載した記事を加筆修正したものです。元記事をnoteで読む ↗

初めてトレイルランニングの大会に参加してきました。タイムは14時間50分、65kmコースを完走した記録です。装備の選び方から練習の進め方、当日のペース管理まで、同じく初めて大会に出ようとしている人に役立ちそうなことをまとめておきます。

参加した大会

The 4100D Mountain Trail In NOZAWA-ONSEN という大会です。

コース距離は65km・37km・14kmの3つから選べます。3つの山を順番に回る設計になっていて、1周ごとにスタート地点に戻ってくるため、体と相談してその場でリタイアを決めやすいのが特徴です。65kmにエントリーしても14kmや37km地点で切り上げることができます。

参加のきっかけ

知人からのお誘いがきっかけです。2025年にサハラマラソンへ出場することを話したところ、「練習としてトレランは相性が良く、この大会は暑い環境でリタイアも選びやすい」ということで紹介されました。

このトレランがどう活きたか、サハラマラソン本番の記録はこちらです。

装備品

全くの初心者からスタートしたので、必須携行品リストをもとに0から揃えました。大会ごとに携行品の指定が異なりますが、今回の経験をもとに必要だと感じたものを挙げます。

ランニングバック 体にフィットする構造で、走っていても揺れが気になりません。ドリンクや補給食をすぐ取り出せて、熊鈴やレインウェアなどの携行品もまとめて収納できます。

トレイルランニングシューズ 滑り止めのアウトソールが要で、これがあると急な下りでも足を置く場所を選びながら自信を持って踏み込めます。

キャップ 汗が目に入るのを防ぎ、日差しと体温上昇を抑えます。

レインウェア 突然の降雨で体温を維持するために必須です。ワークマン製はコストパフォーマンスが高く、今回の悪天候でも十分機能しました。

補給食(ジェル・電解質) 山岳コースでは1時間あたりのカロリー消費が大きく、エネルギー切れ(ハンガーノック)は足が止まるだけでなく危険です。時間を決めてジェルを補給し、水分とセットで電解質も取るようにしました。

スマホケース(防水) 降雨前に装着しておくことで、雨の中でも操作できました。

Apple Watch(または GPS ウォッチ) 心拍数をリアルタイムで確認するために Apple Watch を使いました。ただし、長時間の野外レースで使ってみて感じたのは、耐水性・バッテリー持続時間・山での地図ナビという点では Garmin のような GPS 専用ウォッチのほうが明らかに向いているということです。実際、雨が本格化してきたときは防水の不安が頭をよぎりました。心拍管理という最低限の用途には間に合いましたが、本格的にトレランを続けるなら最初から GPS ウォッチを選ぶのがよさそうだと思っています。

熊鈴 山中で熊と遭遇するリスクへの対策です。コース上での必須携行品に含まれていることも多いので確認しておくと安心です。

練習

道具を揃えたら、次は体作りです。

大会まで、近所の川沿いを5〜10kmほど週2日ペースで走るようにしました。トレランは起伏が多い分、体力の消耗が平地より大きくなります。「ロードを10km走れるくらいが山に入れる目安」と聞いていたので、それを基準にしました。

山の距離の目安として「ロードの2倍換算」という考え方も参考になりました。山で10km走るには、平地で5kmを走れる体力が目安になります。

ロードだけでは感覚が掴めないので、大会前に神奈川の丹沢・大倉登山道から塔ノ岳までの往復コース(約13km)を走りました。

登山の経験はあったので道は知っていましたが、走るのは別物でした。上り下りで使う筋肉が平地とは異なり、不安定な足場を駆け降りる動作は翌日の筋肉痛でよくわかります。それでも、ここで一度走っておいたことで本番のイメージが具体的になりました。

当日の様子

2024年の野沢トレイルは毎年暑いと言われていますが、当日は雨で気温が低めでした。

朝7時にスタートし、最初は街中を走ります。沿道からの声援を受けながら走るのは初めての体験で、普段一人で練習しているだけに、応援の力が体に入ってくる感覚が新鮮でした。

街を1周すると山道に入ります。上り坂は走るのが難しく、歩くのが精一杯です。今回の目的は「山に対して自分の体がどの程度順応できるかを試すこと」と決めていたので、無理せずペースを保つことを最優先にしました。

Apple Watchで心拍数を見ながらペースを調整しました。心拍数が160を超えたあたりが自分には心地よく、180に近づくと息が上がります。その感覚を掴んでからは、心拍数を目安にして上りのペースを落とすタイミングを判断できました。

途中から勾配が急な一本道になります。ここで無理をしないと決めて、適宜休憩を挟みながら登りました。最初のエイドに着く頃から雨が降り始め、気温も下がってきます。

エイドを過ぎると最初の下りです。野沢温泉村を見下ろしながら駆け降りるルートは、この日一番気持ちよかった場面のひとつでした。

下りきると1周目が終わりました。時刻は10時ごろで、思ったよりペースが出ていました。1周目でのリタイアも覚悟していましたが、体に余裕があったので2周目へ。

2周目は石段が続く上り坂です。体が温まっていたこともあり、1周目よりも楽に登れました。雨で気温が下がっていたのも助かりました。

2周目はエイドなしで下りです。雨が本格的になり、コースは泥だらけで足場が滑ります。何度も尻餅をつきましたし、斜面を立って歩けずに尻から滑り降りた場面もありました。

2周目を終えたのが14時ごろ。不思議と体に余裕があったので、3周目へ進みました。

3周目が一番きつかったです。気温はかなり下がり、霧が出始めました。足を止めると低体温症の気配があるので、ペースを落とさず動き続けることを意識しました。疲れているので、これが精神的につらい。道中のアップダウンが続き、「登り終わったと思ったらまた登り」「下りに入ったと思ったらまた上り」というのがメンタルにきます。

補給を欠かさず続けてエネルギーを切らさないように調整しました。レインウェアと携行装備がここで本当に役に立ちました。

3回目のエイドを過ぎると、日が落ちかかっています。日没前に下りたかったのですが間に合わず、ヘッドライトを点灯しました。雨がひどく霧も濃く、1メートル先が見えない状態でコース上のライトを頼りに進みます。暗闇・足場の悪さ・雨・霧が重なる最悪のコンディションでしたが、止まると体が冷えるので、とにかく歩き続けることだけを意識して下山しました。

最後のトレイルを抜けて麓の街が見えたとき、足はもう動きません。とぼとぼ歩きながら、それでも力を振り絞ってゴールしました。

結果

タイムは14時間50分で完走しました。後方ゴールでしたが、気合と体力でなんとか走りきれました。

完走して感じたこと

心拍数を目安にしたペース管理は、初心者には特に有効だと思います。感覚だけでは上りで飛ばしすぎてしまいますが、数値で見ていると「ここで落とす」判断が迷わずできます。

下りの走り方はYouTubeで事前に学んでおき、丹沢の練習で試しておいたことが本番で生きました。足の置き方と体重のかけ方を意識するだけで、滑りにくさが変わります。

補給は「時間を決めて必ず取る」が基本です。食欲がなくても、決めたタイミングでジェルを口に入れる習慣を練習から作っておくと、本番でも迷いません。

次の目標はサハラマラソンです。この大会で掴んだ感覚を練習に活かしていきます。

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井上 周(Amane Inoue)の個人ブログです。技術・読書・ドラマ・旅・大学生活のことを書いています。