エンジニアの自分が技術広報に関わって感じたこと

エンジニアの自分が技術広報に関わって感じたこと

7分で読めるカルチャー
この記事はnoteに掲載した記事を加筆修正したものです。元記事をnoteで読む ↗

技術広報というものに関わり始めて、最初に感じたのは「気づいたら止まっている」という感覚でした。テックブログを書いたりカンファレンスにノベルティを出品したりはしていたものの、どこかやり切れていない気持ちが続いていました。2022年ごろまでの自分はそういう状態でした。

2023年は一転して、イベントを数多く実施したりテックブログの投稿を継続したりできました。この記事では、自分がその1年で体感した「なぜ続けられたか」を振り返ります。組織論として書くよりも、自分がどう動いたか・どう感じたかの記録として残しておきたいと思います。

一人でやると続かないと気づいた

技術広報の活動はどれも単体では難しくありません。記事を1本書く、LTを1本する——それぞれは「やればできる」レベルです。ただし、これを年間通して量を出し続けようとすると、一人で抱えると途端に重くなります。場所の手配、飲食の調整、告知、当日の運営——イベント1本を自分たちだけで完結させようとすると、開発の本業を明らかに圧迫します。

自分がまず感じたのは、「やりたい気持ちはあるのに、準備のコストが心理的なブレーキになっている」ということでした。やる前から疲れてしまう感じ、というとわかりやすいかもしれません。

人事チームと組んで、準備の重さが変わった

在籍していた会社で、エンジニア向けイベントを人事チームと共同で運営するようにしました。会場の手配、備品や飲食の調達、社内調整といった業務を分担することで、自分たちエンジニア側に集中していた負荷がかなり軽くなりました。

具体的には、人事側が管理しているイベントカレンダーにエンジニア向けイベントを連携し、会社のスペースをスムーズに押さえられるようにしました。カンファレンスへのブース出展では、技術コンテンツだけでなく会社全体の雰囲気が伝わるコンテンツを一緒に用意できたのも大きかったです。

自分として大きかったのは、「自分一人でやらなくていい」という感覚を持てたことです。採用目的と一致しているため人事が動く理由があり、お互いにメリットがある形になっていました。協力を求めること自体に遠慮していた部分があったので、組んでみて初めてその遠慮が不要だったとわかりました。

EM が仕組みを作ったことで、書く文化が変わった

テックブログの本数を増やすうえで、自分が感じていた課題は「書くネタの枯渇」でした。何を書けばいいかが思い浮かばないと、そもそも書き始められません。

在籍先では、EM がいくつかの施策を主導してくれました。そのうちの一つが、Slack の投稿にスタンプをつけることでテックブログのネタを自動的にストックする仕組みです。「ネタを探す」という最初の壁がなくなることで、記事化のハードルが明確に下がりました。

下書きを丁寧にレビューしてもらえる体制も、じわじわ効きました。誰かが読んでフィードバックをくれるほうが、次を書こうという気になります。一人で書いて放流するより、サイクルが生まれる感覚がありました。

LLM を使ってなるべく工数をかけずに記事を書けないかを試行錯誤する Slack チャンネルも立ち上がりました。

業務目標にアウトプットを組み込んでもらったことで、「業務時間内で書く」という後ろめたさもなくなりました。こうした複数の施策が重なって、自分も含めてメンバーが発表や執筆に踏み出しやすくなったと感じています。

他社との共催で、準備の孤独感がなくなった

2023年は初めて他社と共催でイベントを実施しました。自社単独で主催するとすべての準備と当日運営を自分たちで引き受けることになりますが、共催にすることで作業を分担できます。告知のリーチも広がり、集客面でも相乗効果がありました。

それ以上に自分が感じたのは、「準備の孤独感がなくなる」ことでした。一緒に作っている感覚があると、イベント当日までのモチベーションが全然違います。

「会社のため」より「自分がやりたいこと」が続く

協力体制を作っても、最終的に記事を書いたりイベントを企画したりするのは個人です。「会社のためにやらなければ」と考えると、どこかでハードルが上がる瞬間が来ます。自分はそれを2022年ごろに経験していました。

2023年を通じて自分が意識したのは、「自分が楽しいと思えることを会社の枠組みの中でできないかを探す」という視点です。「いい音楽を聴きながら美味しい日本酒を飲む場を作ったら楽しそう」という思いつきから企画したイベントや、「今年知り合った人たちと年末に振り返りをしたい」という純粋な動機から生まれたイベントも、結果として技術広報の文脈で機能しました。

「こなす仕事」ではなく「やりたいこと」として関われると、発信の継続感がまるで変わります。会社としての目的(エンジニア採用)と自分がやりたいことの交点を探す——この動き方ができると、義務感ではなく楽しさが先に来るようになります。

対外的なアウトプットは、自分自身にとっても価値があります。ブログ執筆はこれまでやってきたことを言語化する振り返りの機会になりますし、外部の目に触れることで社外のつながりや情報、刺激を得られます。「会社のため」と「自分のため」は両立します。そのことをこの1年で実感できたのが、自分にとっていちばんの収穫でした。

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井上 周(Amane Inoue)の個人ブログです。技術・読書・ドラマ・旅・大学生活のことを書いています。