『夜は短し歩けよ乙女』を読んだ感想!

先日、森見登美彦さんの『ペンギン・ハイウェイ』を読んだ流れで、今度は同氏の『夜は短し歩けよ乙女』を読みました。
アニメ『四畳半神話体系』を読んでから、ずっと読みたいなと思っていた作品だったのですがなかなか手が出せず、今回やっとペンギンの勢いを借りて読むことができました。
相変わらずの森見登美彦さんの作品で、めっちゃ面白かったです。
目次
『夜は短し歩けよ乙女』のあらすじ
主人公は2名です。
「黒髪の乙女」と、彼女に好意をもっている「先輩」。
夜の先斗町、下鴨神社の古本市、大学の学園祭、風邪が流行する京都の街と、場所と時間を変えながら先輩は彼女の気をひこうと頑張ります。
ですが、彼女は先輩の想いに気づくことなく、どんどん先へ歩いていってしまうのでした。
ファンタジーを表現する森見登美彦さんの文章が良い
『ペンギン・ハイウェイ』もそうだったのですが、森見さんの作品って論理的でありながらもファンタジー要素があると思います。
ファンタジーのふわふわしていて不思議な感じを文章で表現されているのがとてもいいなあと思いました。
みなさんは初めて夜の街で遊んだときのことを覚えていますか?
僕は大学生になって初めて友達と夜の街で遊ぶ、ということをしました。
まだ見ぬ世界のワクワク感、大学生になった開放感をひしひしと感じたことを覚えています。
『夜は短し歩けよ乙女』の主人公の乙女が先斗町でお酒を飲み歩くシーンがあるのですが、そこでは僕が感じたようなワクワクがとても素敵に書かれていて、印象的でした。
それだけでなく、お酒によって気分がふわふわする様子も文章全体から伝わってくるのがすごいなあと。
『夜は短し歩けよ乙女』の登場人物の個性が強い
あとは物語の登場人物の個性が強くて、またいい味を出しています。
「個性がすごい」とは一口にいってもいろいろな「すごい」がありますよね。
『夜は短し歩けよ乙女』の登場人物の「すごい」は「へんちくりん」です。
どういう発想をしたら彼らを生み出すことができるのか。
作者の想像力にただただ脱帽するばかりです。
偏見だと思うのですが、僕の中で「京都の学生」というひねくれていたり、へんちくりんだったり、そういうイメージがあります。
この本を読むとそういう人たちに囲まれた学生生活はとても楽しいんだろうなと憧れてしまいました。
タイトル「夜は短し歩けよ乙女」に隠された意味を考察
物語では主人公の乙女は色々な場所を歩き、色んな人たちと出会って、つながっていきます。
タイトルの「「夜は短し歩けよ乙女」ですが、物語のなかでは「夜は短いから、たくさんあるきまわって楽しみなさいよ」という意味で使われています。
文字通りの意味ですね。
僕はこの言葉は僕たちの日常でも当てはまるんじゃないかなと思いました。
「人生は短い。だから色々動きなさいよ」と。
そんな力をもらった小説でした。
映画版と小説はどっちがおすすめ?
『夜は短し歩けよ乙女』ですが、映画化もされています。
僕は映画版の方も観ました。
映画版は音楽と色彩がすごくよかったです!
本の中の不思議な世界観がテンポ感よく表現されていました。
ただ、やはりこれだけのボリュームの本を2時間以内に収めるのはすごく難しかったのだろうなと思います。
作品の細部が削られていたり、本書では半年くらいの時系列のものが1日に圧縮されていたりと残念な部分もありました。
個人的には小説版が圧倒的におすすめですね。
ぜひ活字で楽しんでほしいです。