【書評】『ゲド戦記』の原作を読んだ感想!僕なりの解釈まとめ〜その2:失われた腕輪〜

【書評】『ゲド戦記』の原作を読んだ感想!僕なりの解釈まとめ〜その2:失われた腕輪〜

ご覧いただきありがとうございます!
こんにちは!!金沢で学生をしています、あまねです(^^)

前回に引き続いて今回も『ゲド戦記』を読んだ感想です。
まだ前回の記事をご覧になっていなければそちらからご覧ください。

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さて、今回は第2巻目ということで、『こわれた腕輪』を読んだ感想を書きたいと思います。

ネタバレを含みますのでご注意願います。

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ストーリー

今回の舞台は、第1巻でゲドが旅した島々とは少し離れた、カルカド帝国のアチュアンという場所です。
そこは神殿や墓所があり、大巫女アルハが統治をしています。

彼女らが崇めるのは暗い闇に住む「名もなきものたち」。
名もなきものたちを進行する巫女や神官たちによって幼い頃に家族から引き離され「大巫女」として育てられたテナーが今作の主人公です。

アルハは毎日毎日大巫女としての決まった仕事をこなしながら暮らしています。
毎日仕事をし、寝るだけの日々。

しかし、ある時彼女は出会うのです。
失われた腕輪を求めてアチュアンに忍びこんだ魔法使い、ゲドに!

そして彼女の運命は大きく変わっていきます。

感想

第2巻は第1巻に比べて時の流れがゆっくりに感じました。
第1巻ではゲドが小さい頃から成長するまでのたくさんの冒険やエピソードが描かれていたのですが、今作では場所が変わらず、大巫女アルハの毎日が鮮明に描かれています。
アチュアンにある文化、信仰が事細かく描かれていました。

アルハは幼いころから彼女らが信仰する「名もなきものたち」に選ばれた者として育てられてきました。
生まれてからずっとアチュアンの地で暮らし、彼女にとっては神殿が全てだったのです。

ゲドはそんな彼女に異国の地のこと、魔法のことを教えます。
そして、彼女はだんだんと今の自分がいる場所が全てでないことがわかっていきます。

アルハはゲドとともに脱出を決意を試みます。
神殿の大巫女としてはあるまじき行動です。
彼女は一番重要な宝物庫へゲドを案内し、腕輪を差し出します。

そして、ゲドとともにアチュアンを離れるのです。
そして次の文が、この物語の核かなと思います。

彼女が今知り始めていたのは、自由の重さであった。自由は、それをになおうとする者にとって、実に重い荷物である。勝手のわからない大きな荷物である。それは、決して、気楽なものではない。自由は与えられるものではなくて、選択するべきものであり、しかもその選択は、かならずしも容易なものではないのだ。坂道をのぼった先に光があることはわかっていても、重い荷を負った旅人は、ついにその坂道をのぼりきれずに終わるかもしれない。

ゲド戦記II こわれた腕輪 p213

つまり、この物語は幼いころから束縛を受けながら育てられたアルハの「自由」の物語だったのです。

自由の物語

束縛された状況なんて、現代社会においてはありえない、そんな風に思うかもしれませんが、僕たちがいる状況も同じになりえます。

アルハはずっと大巫女として育てられ、それが全てでした。
教えられたこと、見たものをすべて受け入れて来たのです。
彼女にとってはそれが全てだったのです。

どこからか与えられたものを鵜呑みにして、環境にしたがって生きていく。それは「気楽」なことです。
一方で、自由とは自ら考え選択していくこと。

自由は背負うには重い物です。
けれど、その坂道を登った先には光があるし、そこからの景色は素晴らしいものだと思います。

アルハは何度ももとの大巫女に戻りたい!と葛藤しますが、ゲドが語る世界を見てみたい!と思い向き直ります。
そのために必要なのは勇気でした。

自由を手に入れるために

では、自由を手に入れるためにはどうすればいいのでしょうか。

物語で、アルハが自由を手に入れるきっかけになったのはゲドとの出会いでした。
つまり、自分が今までに知らなかったこと、価値観によって自由を手に入れるためのスタートラインに立てたのです。

そして、今までの気楽で快適な場所から抜け出す「勇気」。

最後に、もっといい景色が見たい!という強い「思い」。

この3つが必要なのかなと思います。

まとめ

さて、第2巻も「自由」という深いテーマの物語でした。

ゲド戦記、考えさせられるいい作品です。

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